表面処理技術「メッキ」の種類と特徴、電気めっきと無電解めっき

表面処理技術めっき(メッキ)の種類と特徴、その使い方についてご紹介します。めっきは素材の表面に金属の薄い皮膜を作り、素材が持っている性質とは違う性質を与えることのできる技術です。めっきは基本的に、用途や目的に応じて使い分けます。この記事では、電気めっきと無電解めっきを中心にご説明します。

メッキの種類

メッキ加工

メッキについて

表面処理技術であるめっき(メッキ)は、素材や材料の表面に金属の薄い皮膜を作ることにより、素材や材料が本来持っている性質とは異なる性質を持たせることのできる技術です。ニッケルやクロム、金や銀など、さまざまな金属がめっきに使用されますが、基本的にめっきは用途に応じて使い分けます。

メッキの種類

めっきは大きく二つに分けられます。この2種類は「湿式」と「乾式」で、それぞれがさらに分類されます。

湿式めっき

湿式めっきは、ひじょうに古くから使われている手法で、装飾目的で使われてきました。現在、湿式めっきは「電気めっき」と「無電解めっき」、そして「硬質クロムめっき」に細分されます。湿式めっきは、字面を見てもわかるように「水溶液」を使ってめっきを行う方法です。水溶液には、めっきに使用する金属が溶かされていて、そこに素材や材料を浸してから、電流を通すことでめっきを定着させます。これを「電気めっき」と呼びます。
無電解めっきは、めっきを施す物体と水溶液を、化学反応により素材や材料に定着させる技術です。無電解めっきでは、還元剤を利用します。銅めっきを使うと金属以外のものにも定着させることが可能なので、電気めっきの下地として幅広く使用されています。
硬質クロムめっきには、装飾用に使用される薄い皮膜のものと、工業用に使用される厚い皮膜のものがあります。
湿式めっきでは、水溶液の成分や温度が品質を大きく左右するため、これらを厳しく管理することが求められます。

乾式めっき

乾式めっきは、その字面からもわかるように、水溶液を使わずに行うめっきの方法です。金属の膜を、真空、もしくは気体の中でめっき対象物の表面に生成します。物理蒸着と化学蒸着の2種類の方法があり、これらは比較的新しい技術として知られています。
物理蒸着は、蒸着釜の中で作業を行います。化学蒸着では、複数のガスを反応させるため、めっき皮膜のバリエーションが多いことが特徴です。これらの乾式めっき法では、金属をガス状にして皮膜を付けるため、湿式と比較して、大がかりな設備が必要とされます。

電気めっき

メッキ加工

もっとも一般的なめっき「電気めっき」についてご紹介しておきましょう。

電気めっきの仕組み

電気めっきでは、金属イオンが含まれている水溶液にめっき対象の素材をマイナス極に、プラス極にはめっき用の金属(銅など)をセットし直流電流を通電します。するとマイナス極の表面に電子を帯びた金属イオンが析出します。これが電気めっきの仕組みです。

電気めっきのメリット

それぞれのめっき方法にはメリットとデメリットが存在します。幅広く使われている電気めっきにも、やはりメリットとデメリットがあります。

・メタル感
電気めっき特有というわけではありませんが、電気めっきによる皮膜は、とてもメタル感というか、金属的な感触があることが特徴です。
・研磨による鏡のような仕上げが可能
電気めっきでは、めっきのプロセスの前後にパフ研磨という磨きを入れることで、めっきの表面を鏡の面のように仕上げることができます。めっきのプロセス前にも磨きを入れる理由は、素材の表面状態を整えること、つまり、少しでも状態が悪いと、鏡面に適した良い皮膜が付かないのです。
・肉盛りが可能
電気めっきでは、電流の大きさと時間をコントロールすることで、皮膜の厚さを決めることができます。硬質クロムめっきはさらに特別で、この場合、めっきを「盛る」こともできます。
・無電解めっきよりも安い
無電解めっきに使用される薬品は高価なので、それだけでも電気めっきは無電解めっきよりもリーズナブルです。
・種類の多さ
電気めっきは、さまざまな金属を素材にめっきすることが可能です。代表的なものはニッケル、クロム、銅、すず、などですが、それ以外にもさまざまな金属が使えます。
・耐熱、耐摩耗、耐汚性能
電気めっきは、素材表面に金属で皮膜を作るため、ほかの材質と比較して耐熱性があります。また、木材などと比較すると強力な耐摩耗性を誇ります。さらに金属の皮膜は硬度が高いので、汚れや傷などに対する強さも持っています。

電気めっきのデメリット

・カラーバリエーションが少ない
電気めっきでは金属の皮膜を作るため、めっきのカラーがどうしても限られてしまいます。顔料を使用して色付けすることは可能ですが、基本的にゴールド、シルバー、ブラック、灰色しかありません。
・めっきが均一になりにくい
電気めっきでは電極を利用してめっきを行いますが、電流の強弱にどうしてもムラが出てしまうため、めっきが均一に付きにくいというデメリットがあります。
・酸に弱い
全てではありませんが、電気めっきは酸に弱い性質があります。亜鉛やクロムめっきは、特に塩酸に対する弱さがあります。
・大きさや形状に制限がある
これは設備的な弱点ですが、電気めっきの設備は大きさ、形状、そしてめっき対象物の材質によっては使用が制限される場合があります。

無電解めっき

メッキ加工

続いてもう一つの湿式めっき法である「無電解めっき」についてご紹介しましょう。

無電解めっきの仕組み

無電解めっきは、直流を水溶液に通して素材にめっきする電気めっきとは異なり、化学反応を利用してめっき対象物の表面に金属を析出させます。無電解めっきでは、化学反応を起こさせるために触媒を使用しますが、一般的には析出した金属自体が触媒として反応を進めます。(自己触媒)この自己触媒性を持つ主な金属は、銅、ニッケルなどです。
自己触媒のほかに、化学還元剤を使用する方法と、置換反応を利用する方法があります。

無電解めっきのメリット

・めっきの均一性
無電解めっきは、液が正しく循環されている限り、対象物表面のめっきの厚さを均一にすることが可能です。
・通電不要
無電解めっきでは、めっき液の中に、めっきの対象物を浸すだけで皮膜を作れます。
・大量作業が可能
無電解めっきは、同じ要領の槽を使った場合、電気めっきと比較して数倍から数十倍のめっき作業を一度にこなすことができます。
・金属以外にもめっき可能
電気めっきでは、プラスチックなどの不導体にめっきすることはできませんが、無電解めっきは不導体にもめっきを施すことができます。
・複雑な形状の物体にもめっき可能
電気めっきでは不可能な複雑な形状をした物体へのめっきも、無電解めっきなら可能です。

無電解めっきのデメリット

・作業温度が高い
無電解めっきは、析出の効率を上げるために高温で作業します。そのため、めっき対象物の強度に影響を与える可能性があります。
・カラーバリエーションに乏しい
カラーバリエーションは、電気めっき同様、無電解めっきも乏しさがあります。めっき液を変えることにより、色味を多少変えることは可能です。

めっきの種類と特徴・電気めっきと無電解めっきのまとめ

かんたんなめっきの種類の説明とその特徴、そして湿式めっき法の電気めっき、無電解めっきについて、そのメリットとデメリットをご紹介しました。これらのめっきは、装飾目的のほか、工業用にも幅広く用いられ、私たちの生活を支えています。